幼なじみは一途に絡まった赤い糸をほどく◆おまけのお話追加しました◆

私は容器の蓋を開けた。
白くて滑らかなクリームがたっぷりと入っている。ほのかに良い香りがする。桜の匂いに似てるな……。

「気に入らなかったらいくらでも改良するから、遠慮なく言って」

「気に入らないだなんて、そんな……」

政宗くんはいつだって私を気遣ってくれる。優しさが身にしみてポロリと涙になった。ああ、もうどれだけ泣けば気が済むのだろう。嬉しくて嬉しくてたまらないや。

「私は政宗くんに何をお返しできるかな?おにぎり……だとお返しにならないし」

私だって政宗くんのことを喜ばせてあげたいのに、これといって何も浮かばない。本当に、おにぎりを作るくらいしか特技がないよ。

「小春は笑っててよ」

「え?」

「俺の隣でずっと笑ってて。俺は小春が笑ってくれたら、それだけで幸せだから」

そう言って、政宗くんは柔らかく笑った。
政宗くんの笑顔こそ私を幸せにしてくれる。その優しくて甘い笑顔は、大好きをいくら言っても足りないくらいに尊い。

「そろそろ起きてブランチでもする?」

「何食べよう?」

「パンケーキとか?」

「わあ、賛成!よし、じゃあ気合い入れて起きますか」

ぐっと起き上がった私に、政宗くんがクスクス笑う。不思議に思って首を傾げると、

「ねえ小春。小春はいつまで裸なの?」

あらわになった私の体。
そうだった、なぜか政宗くんはシャツを着ていて私は裸のままだったんだ。急に羞恥心が湧いてみるみる顔が熱くなる。

「やだっ、見ないで」

「今さらだよ」

政宗くんはクスクスと笑いながら、丁寧に私の着替えを手伝ってくれたのだった。



【END】