奪って、浬くん




浬くんの言葉に、ぼっと顔が火照る。


......はずかしいけど、それ以上に。



「(うれしい、なあ....)」



あたたかい感情に、心が満たされていく。


触れたいとおもっていたのは、わたしだけじゃなかったんだ。



浬くんも、わたしのこと───



「浬くんになら、触れてほしいよ....っ」



はじめて、自分から唇を重ねた。


ちゅ、という軽いリップ音が静かな部屋に響いて、羞恥心でどうにかなってしまいそうだけど。



「なこに触っていいのはおれだけ」


「っ、うん」




「────なこを奪っていいのは、おれだけでしょ?」





怪しくわらった影が、重なった。





(奪って、浬くん)