奪って、浬くん




怪しくわらう浬くん。


対するわたしは、固まって動けない。


いま、''やっと''って.....。



「遅すぎね、なこ。....ほんと待ちくたびれた」


「っかいりくん、気づいてたの.....?」



わたしが浬くんのこと、すきだって....。


浬くんはなにも言わなかったけど、ふっと楽しそうに目を細めたから、たぶん肯定だとおもう。



ぱっと、絡めていた腕をといた。


.....き、きえたい....っ。


かぁぁぁ、と時間差で頬が熱くなる。



押し倒されているみたいな体勢も、気づかれていたという事実も、ぜんぶ恥ずかしい。


耐えきれなくて、ふい、と視線をそらすと、逃がさないと言わんばかりに距離が詰められる。



「ちかい.....よ」



ブラウンの髪がさらりと揺れて、わたしの顔にかかる。


唇と唇がスレスレ、浬くん、ぜったいわざと。