「どうかしら? お養父様に新しく仕立てていただいたの。王宮の姫様と同じデザインなんですって。かわいいでしょう?」
「……ええ。とっても素敵よ、ローゼマリー。あなたの髪の色にぴったりだわ」
「ウフフ! お姉様も、そのボロ雑巾みたいな服と、灰色の髪がとてもお似合い」
「……っ」
 妹と比べると、あまりにもみすぼらしい自分の格好に泣きそうになった。惨めな気持ちを押し隠すために俯くと、ローゼマリーはけらけらと無邪気に笑う。
「お姉様ったら、顔を上げて? なにも恥じることはないわ。〝悪役令嬢〟のお姉様と〝主人公〟の私を比べるのがそもそもの間違いなのよ」
 ローゼマリーは冷ややかに言い捨てると、次に囁くように言った。
「この世界の主役は私。だって、そういう風にできているんですもの。でも、お姉様はそんなでも素敵。だから落ち込むことなんてないわ……」