捨てられ幼女は最強の聖女でした~もふもふ家族に拾われて甘やかされています!~

 私の前にいるのは、まるで小山のように巨大な獅子だ。
 部屋のど真ん中に鎮座した純白の獅子は、時折、鼻をヒクヒク動かしながら、私をジッと見つめている。突然の肉食獣の出現に、一刻も早くここから離れたいのだが、長すぎる寝間着の裾が獅子の前脚の爪に引っかかっていて、どう足掻いても逃げられそうにない。
「シュ、シュバルツ伯爵様は……? ひっ! 近い……!」
 ――どうしてこうなったの! 思い返してみても、ちっとも状況が理解できない。
 少し待っていてほしいと言われ、案内された応接室の真ん中で、ぽけーっと壁に飾られた剥製を眺めていただけなのに! なぜか、突然現れた獅子に捕らわれてしまったのだ。
「たす……っ! たす、助けてくださいいい……」
「いやあ……そうは言われてもッス……」
 ヒューゴたちに声をかけるも、彼らは少し困ったような顔をしているだけだ。