お養父様の名は、アルベルト・フォン・クライゼ。国王より男爵位を賜った貴族だ。
 結婚はしていたものの、長年の間、子どもに恵まれなかったらしい。
 そんな時、魔力持ちの双子がいると聞きつけて、私たちを引き取ってくれたのだ。
 魔力は言祝ぎ。魔力は神様からの賜り物。魔力持ちは希少な存在。
 魔力があるというだけで、貴族界では引く手あまた。
 優秀な魔法使いともなれば、男爵家であろうとも王宮の要職が望める。
 有力貴族との婚姻だってありえる。
 だから、お養父様は私たちを引き取った。
 それは感情に因らない、自家のことを考えての養子縁組だ。
 なのに、お養父様やお養母様は私たちを心から愛してくれた。
「かわいい、かわいい娘たち。今日は新しい紅茶を用意したんだ。できたてのジャムもあるよ」
「お姉ちゃん、そのジャムの苺は私が摘んだのよ」