おうちかいだん

「こ、この……外道!」


私がそう言った時、視界の端で何かが動いたような気がした。


でも、それよりも今はこの異常性癖の老人をどうにかしないと、私の身が危ない。


「お前にも、その外道の血が流れとるんじゃよ。高校に入ってすぐじゃったか。お前が風呂場で同級生を殺したのは」


額に破れた御札を貼ったまま、老人が私の腕を掴んで床に押し付ける。


抵抗も出来なくて、老人のニヤけた顔が徐々に近付いて来た。


恐怖はある。


この薄汚い外道に良いように弄ばれてしまうのかという恐怖は。


だけどそれ以上に怒りの方が強かった。


「あれは私じゃない! あれはあの子達が勝手に!」


「自分の都合の良いように記憶を書き換えるな! あれは、お前がやったんじゃ! まあそのおかげで、しばらくは若い女の身体を楽しめたがのう。名前はなんと言ったか……確か……そう、サキ。米津咲と制服に書いてあったのう」


ニタニタしながらそう言った老人に、私はさすがに驚きを隠せなかった。


米津……咲?


それって、学校で私にこの家の話をしてくれた……。


洋服ダンスの中に入っていたもう1人のミイラはもしかして……米津さんなの?