おうちかいだん

信じたくはなかったけど、お父さんと呼んでみると不思議としっくりきた。


おじいちゃん……お父さんもニヤリと笑って、私を見上げたのだ。


「ミサちゃんはいい女じゃった。バカで、ワシの趣味を知っていても何も言わんかった。子供が出来て、女の子が産まれた時はそりゃあ嬉しかったよ。大きくなったら美人になる。そうなったらワシのモノにしようと思っていたからのう。だけど死んじまった」


淡々と、吐き気のするようなことを言うお父さんを見下ろしたまま、私は怒りに震えた。


つまり、私が死ぬ前に、私に頬擦りをしたり頬を舐めたりしたのは、お母さんと見間違えたというのもあるけど、元々そうするつもりだったわけね。


そんなの、まるで家畜じゃないの。


私はお父さんの慰み物になる為に育てられたわけ?


「あなたが殺したんでしょ! 私とお母さんを目の前にして、あなたはお母さんを取ろうとした!」


「愛する女を取ろうとして何が悪い! お前も美人じゃが、ミサちゃんはもっと美人じゃった。それに……お前ほど賢くないから扱いやすかったんじゃ」


私はただ、それだけの理由で殺されたんだ。


お母さんじゃないという理由だけで、助けてほしかったのに、お父さんに殺されてしまった。