おうちかいだん

だけど、いくら考えてもいい答えなんて出ない。


そして……天井裏の死体達もまた、この部屋には入ってこなかったのだ。


「……来ない? まあ、来ないならそれにこしたことはないんだけど」


少し肩透かしをくらったような気分だけど、焦らされるよりはずっといい。


でも、死体が天井裏にいるということは、向こう側にはもう戻れないということだ。


「まあ、後のことは後で考えるとして……三面鏡。あった」


木の表面が変色して、ボロボロになっている三面鏡に近付き、そっとそれに触れてみた。


すると、パアッと部屋の中が明るくなり、私が生きていた頃の綺麗な部屋に戻る。


三面鏡の前には……私?


いや、良く似ているけど……お母さんの若い頃?


これは、私がミサと呼んでいたお母さんだ。





「ああ、ミサちゃん。どうしてお前は毎日そんなに綺麗なんだろう。こんな嫁をもらえた僕は幸せだ」



そんなお母さんを背後から抱き締めて、頭に頬擦りをする老けた男性の姿。


まだメイクの途中のお母さんは少し鬱陶しそうにして、その手を払い除けた。


「もう、まだ昼間なのにやめてよ。お化粧ができないじゃない。どうせならあなたも、綺麗な私を抱きたいでしょ? だから待ってて」