中学生になっても、夜中に1人でトイレに行くのが怖くて、お母さんについてきてもらっていた場所。


水場……特にトイレは、一日に何度も行く場所だけに、特別に怖いところだという印象がある。


ガラガラと、派手な音を立てる引き戸を開けると、正面に幽霊が立っている。


「昔は怖くて、この手前のトイレだけ使ってたけど……死体は、解体されて奥のトイレに捨てられていたのね」


タイルが敷き詰められたこのトイレは、水を流す事で簡単に掃除をすることが出来る。


お風呂場である程度バラして、ここでさらに細かく解体して捨てる。


位置的にも近いし、掃除も比較的楽な場所だから、頻繁に利用したのだろう。


昔は考えていなかったけど、今になって考えてみればよくわかる。


「この家は民宿をしていたから、知らない人が出入りしていても不思議じゃない……か」


宿泊客に手を出せば、いくらなんでもすぐに足がついてしまうだろう。


だからこそ、海水浴にきた知らない人を選んで殺人をしていたとしたら。


これほど条件の揃った場所はなかなかないに違いない。


この家で生まれ育ったからこそ、それを思い付いて実行に移したのかもしれないけど。