「あーあ、せっかく藤井さんとエッチなこと出来ると思ったのにな。てか気付いてる？ 藤井さんの唇、私の口紅が移って真っ赤だよ」


少し残念がったあと、クスクスと笑って私に鏡を見せた。


米津さんの言う通り、私の唇とその周りに口紅がついていて、なんだか大変なことになっている。


こんなになるまで激しいキスをしていたのかと、半ば呆れてため息をついた。


「まあまあ、お詫びに綺麗にしてあげるからさ、こっち向いてみ」


笑いながら私の肩を掴んで強引に横に向けると、バッグの中からメイク道具を取り出して、私の顔を拭き始めた。


なんか勝手にいじられるのは抵抗があるけど、口紅だけでも落としてくれたらと思っていたのかもしれない。


「うわー……藤井さんってノーメイクだったんだ。それなのにどうやったらこんな透き通った肌になるわけ？ すっぴんでこれとか、美人なはずだよ」


自分ではよくわからないけど、そう言われて悪い気はしない。


私が見ても綺麗だと思う米津さんに言われるならなおさらだ。


「あ、ありがとう。米津さんも美人だよ」


「あぁん。そんなこと言われたら、藤井さんを犯したくなるじゃない。でもダメ。今から藤井さんをもっと美人にするんだから」