「助けて! おばあちゃんがミイラに……私が御札を破ったから!」


お母さんに手を伸ばしてそう叫ぶと、お母さんはあからさまに不機嫌そうな顔をして。










「もういい加減にして! おばあちゃんなんていないって何度言えばわかるの! おばあちゃんはあんたが産まれるよりもずっと前に死んでるのよ! わけのわからないことをいつまでも言わないで!」











怒りながらそう言って、私は頭の中が真っ白になった。


え?


じゃあ、私が今までずっと見ていたおばあちゃんは……何だったの?


学校から帰ったら、いつも話をしてくれていた優しいおばあちゃんは。


じゃあ……今私を覗き込んでいるおばあちゃんは。


もしもそうだとすると、お母さんやおじいちゃんが無視していた理由がわかる。


おばあちゃんをのけ者にしていたわけじゃなくて、そう思い込んでいた私がおかしいだけだったってこと?


そう理解しておばあちゃんを見ると……もう、そこにおばあちゃんの姿はなかった。


台所に行っても、おばあちゃんがいた形跡はすっかりなくなっていて。


私がいない存在だと理解したから、消えてしまったのだろう。