私の顔を覗き込むおばあちゃん。


その顔は、あのミイラそのものだったのだから。


何がなんだかわからない。



どうしておばあちゃんがミイラに。


私が知っているおばあちゃんの顔は……おばあちゃんの顔は……どんなだっけ?








「え、え……な、なんで。なんでなんでなんでなんで……なんで!?」









いくら思い出そうとしても、おばあちゃんの顔が思い出せない!


後ろ姿は思い出せるのに、顔の部分が全く思い出せないよ!


いや、思い出せないんじゃない。


おばあちゃんの顔を、私は知らないんだ!






「大丈夫……何も怖いものなんていやしないよ」






ニタリと笑ったミイラの顔を見て、そこでようやく私にひとつの感情が湧き上がった。












「お、お母さん! 助けてぇぇぇぇ!!」










それは恐怖。


おばあちゃんの声で消えた恐怖が、再び大爆発をするように噴出して、私は助けを求める声を上げた。


その悲鳴の少し後に、お母さんとおじいちゃんが慌てて私の部屋にやって来て。


ミイラに覗き込まれている私を見て、不思議そうに首を傾げた。