教室中が、注視してるような気がする……。

ものすごく、居心地悪い。


また、いわれのない誹謗中傷をされちゃうんだろうな。



「ありがとう。じゃあ、話し合い、終わったら……。」


「はいはい!もう終わった!どうぞどうぞ!」

ひかりんがそう言って資料を閉じて後片付けを始めた。


他の子もバタバタと鞄にしまいこみ、私を促した。



「……じゃあ、まあ、続きは明日……。」

私ひとりがこの状況に乗れないまま、とにかく、友人たちに背中を押されてしまった。



「なんか、ごめん。気ぃ使わせて。」

恐縮する杉森くんに、ひかりんはぶんぶん首を横に振った。

「いいのいいの。まさみん!何か知らんけど、しっかり!あきらのお役に立ってきーや!」


「……はあ……。」


何の手伝いだろう。

旅行のレジュメ作りとか、絵を描いてほしいとか、そんなんかな?



よくわからないまま、私は渋々立ち上がった。



杉森くんが、教室を出ようと歩き出した。

私も、わけのわからないまま、ついてった。




「がんばれー。」

ヲタ友どもが、謎な励ましをくれたけど……他の女子が口々に非難してるブーイングにかき消された。



***

どこまで行くのか……。


杉森くんは、飄々と歩いてく。

校舎を出て、自転車置き場のほうへ向かっているようだ。



「どこ行くん?」


そう尋ねると、杉森くんが少し驚いた顔になった。


「あれ?堀さん、自転車やなかったっけ?」


私も、驚いた。

よく知ってるな……。



「そうやけど、今朝ちょっと雨降ってたからバスで来た。……頼みごとって、学校の中でのことじゃないの?」