・奇跡

小学1年生の時

私は小さい頃人見知りってこともあって陰キャで友達は数人しかいなかった。だから、放課後遊ぶ時も1人。周りは大勢で鬼ごっこをするなどして楽しい悲鳴が聞こえていた。私はいつも泥団子を作っていた。周りがどんなめで見ようと、そんなことも気にせず、家に帰ろうとしたときだった。
__どてっ!__
砂場の囲いに足が引っかかり転んでしまった。幸い地面はコンクリートではなくて砂だったため、軽い擦り傷で済んだ。だけど、血は出てきていた。そして、何より痛い。周りの遊んでいる子は母親が近くにいたり、友達がいるから助けてくれるだろう。だが、私は友達もいず、母は仕事でいない。誰も助けてくれないのだ。自力で立とうとしたその時、

「大丈夫?ねぇ、立てる?」

そんな声が聞こえた。私は顔を上げた。そこには優しい顔つきをしている男の子がいた。その子は私に手を差し伸べてくれた。私はその手を取り立ち上がった。そのまま、支えられて水道まで行き洗った。そして、ハンカチで拭いた。それを見ていた男の子が安心した笑顔で

「泣かないの?強いね!」

そんなことを言ってた。私は家族以外の誰かに初めて自分に向けられた笑顔を見て泣きそうになった。そして、いつの間にか一筋の涙が頬を伝っていた。痛くて泣いたんじゃない、心配してくれたこと助けてくれたこと笑顔を向けてくれたこと。たくさんの幸せを実感できたから泣いてしまったんだ。いきなり泣き出した私を見て男の子が

「えぇ、泣いちゃった。大丈夫?」

困った顔でそんなことを言った。私は泣きながら言ったの。

「ありがとう!」

そしたら男の子が

「これからは1人じゃなくて僕と遊ばない?」

と言った。私は快く

「うん!!!」

って言ったの。あの日、初めての友達ができた。その子の名前は(七海陸矢)。

その日から毎日遊んでたっけ。
でもある日、私のとこ来て言ったよね

「もう遊べない」

その言葉を残して去っていったね。理由も言わず、消えていった私の前から。

もう一生会えないのかな?

、、そんなことを考えながら毎日生活してる10年後の綾瀬結衣。

「ゆううういいいい!」

名前を呼んだのは親友の高橋奏美。奏美は中学の時に知り合って、1番仲良くしている友達だ。人見知りは小4の時に克服氏、そのまま陽キャの道に突入した。それを気に友達はぐんぐん増えて今ではどのクラスにも最低5人はいるくらいだった。誰に対してとかもなく心中で奏美のことを軽く紹介し、自分の性格の成り行きを心の中で言っていた。そうとも知らず奏美は

「好きな人変わった!?」

なんて、呑気なことを言っている。毎日のことだ。

「変わらないよ、初恋はまだ続いております。」

そう返して、首を振った。そんなことをしていると授業の始まるチャイムがなった。ぼーっとしながら席に着くと突然隣の席の山成日向くんが話しかけてきた。

「ごっめん!!昨日借りたノート持ってくんの忘れた!!」

日向君は借りた次の日には絶対持ってこないのがルールのように、毎回1日開けて持ってくる。そんな彼に私は呆れている

「いいよ、どーせ持ってこないと思ってたから」

「ひでーぇえ」

「しゃーねーぞっ!」

「すいやせん」

そんな他愛ない会話をしていた。すると、担任の駿河透織。通称「とおちゃん」が教室に入ってきた。

「おはよー、みんな」

「とおちゃんおっはー!」

みんな次々と挨拶をした。みんな、とおちゃんにはタメで話している。言い訳もないのに笑だから、毎回とおちゃんは言う

「まずタメを直そっか」

なんて冗談っぽく言う。親しみやすい性格で生徒に好かれている。そんなとこが先生にとっても嬉しいのかななんて思う。とおちゃんは26歳で彼女もち。割とイケメンで本気で恋してる子も何人かいるであろう。まあ、そんなことは私に関係がない。

「はーい、みんな席つけ」

教室の全員が聞こえる声でいった。なんだろう、みんなが思っただろう。

「入れ」

そんな時とおちゃんが言った。誰かに対して

_ガラガラ_

、、?男の子、いや誰。そこには背が高くて顔立ちが良くて、制服を乱して着ている男の子が立っていた。ガラが悪そう
その男の子は前に立ち前を向いた。
その時私と目が合ったのだ。彼はとても優しくて綺麗な瞳をしていた。

「転校してきた、七海陸矢くんだ。」

「え」

私はつい、声に出してしまった。

「どうした?綾瀬?」

「いえっ!なんでも、」

詰まりながらもそう答える。彼は公園で出会った子だ、なんて放心状態になっていた。
男の子は口を開いた

「どーも。七海陸矢です。よろしく」

なんて、だるそうに言ってた。

「じゃあぁ、仲良くするよーに。それから、席は、、、綾瀬お前の隣だ。」

「は!?え、ほんとですか!!」

「なんだ?嫌なことでもあるのか?」

「いえ、」

私はゆっくり息を整えて、隣に来た陸矢君に

「こ、こんにち、は。綾瀬結衣です。結衣でもなんでも呼んでください」

勇気を出した。なのに、無視だ。やっていける気がしない。でも想いは絶対伝えなきゃいけない

私はその日以来ずっと毎日話しかけた。
そしたら、口を開いた。

「うるさい」

は?そんな酷いことでも嬉しかった。

「ありがとう!」

なんて言ったら

「きも」

なんて言われちゃってさ
でも、好きなのにはかわりはない。
1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、、半年くらい続けたっけ?そしたら、褒めてくれた

「お前、しつこすぎ
でも、お前になら話せるかもな色々と」

そこでチャンスだと思ったから私は言った。

「ねぇ、今日の放課後屋上来てよ」