「…………時間、切れ…」
私の指先が、先程吐いた花と同じ花びらにふわりと変わる。
足先も、同じように。
「………ごめんね……またね………!」
千奈実。快斗くん。
本当にごめんなさい。
謝っても、謝っても、謝りきれない。
私は、快斗くんのことが大好きでした。
何年も片想いを続ける程に。
馬鹿な程に。
ずっと、ずっと、消えたかった。
二人に接する度、つらかった。
早く、この気持ちを消したかった。
だけど、二人のことも大好きでした。
どうしようもなく、他と比べ物にならないくらい、大好きでした。
今になって、
死にたくないだとか、
消えたくないだとか、
二人にまた、会いたいだとか。
すべてが自分勝手で、私のエゴで。
だけど。だけど!
それでも、こんな私を好きになってくれて、ありがとう
私と出逢ってくれて、ありがとう
千奈実と会えてよかった
快斗くんと会えてよかった
本当に、ごめんね
ありがとう
大好き
幻想的な花が、私を包むように蝕む。
ふわりと滲む月と星が私を照らした。
もう、呼吸も出来ない。
感覚もない。
そのまま、ふつりと思考が途絶えた。
小さな白い星型の花____ハナニラ____
花言葉
「悲しい別れ」「耐える愛」「星に願いを」
花弁の先が尖って星型になっていることから「星に願いを」の意味が。
地上の星に失恋の叶わない願いを込めたと考えられる。