快斗くんとは大学内で知り合った。
もう、5年も前である。
今ではお互い社会人として必死に生きているのに。

当時21歳の私たち。
若いなぁ。

ああ、少し話が逸れた。
彼とは、3年の時の初めてのゼミで出会ったのだ。
右も左も分からぬまま高校時代からの友人である千奈実と向かえば、そこには千奈実の知り合いだという快斗くんの姿。
へらりと笑うその姿が、とても印象的だった。

これがきっかけで、千奈実の友達ということもあり、よく3人で仲良くしていた。
明るくて、面白くて、周りを笑顔にしてくれて。
でもどこか謙虚で、他人を気遣ってくれる優しい人。
そんな人を好きになるのには時間がかからなかった。
いつが、どこが、何がきっかけか分からない。
でも、いつの間にか。
4年になる前にもう……既に気づいていたのかもしれない。
気づいたら、そんな快斗くんに恋をしていたのだ。

だけど、それはもう遅すぎる恋だった。
何もかもが。
彼を知るのも、恋に落ちるのも、恋を自覚するのも、全てが。

なぜなら。

私たちが4年になったその約一カ月後。
快斗くんと千奈実は、幸せそうに手を繋いでいたのだ。



『めい、あのね、私たち、付き合うことになったの!』
『…そうなんだ』
『あ、でもね、これからも3人で馬鹿するのには変わりないから!』
『そうそう、それは揺るがないから』
『あはは、そっか…。まぁとにかく、おめでとう、!』
『んふふ、ありがとー』
『ありがとう、めい』