でもね、本当はやってみたい事は
数え切れないほど沢山ある。


みんなと一緒に体育の授業、体育祭
そして、部活なんてやってみたい。

友達と放課後お出かけとかお泊まりとか。


でもね、1番は恋愛してみたいんだ。
まだ恋なんてものをした事がない。

どんなものでどんな感じなのかもわからない。

だから私がその日を迎えるまでに
したい。

でも、これを叶えようとなるとお母さん
お父さんは死ぬほど心配するに違いない。

そんなことわかりきってる。

だから誰にも言わずに我慢するの。

私の心に蓋をしてね…。



「ご飯食べたらちゃんと薬飲んで学校無理して行かなくていいからね!」


朝ごはんを食べてる私に仕事の用意をしてるお母さんが言う。


「わかってるよ…もし学校行くなら連絡入れるから」

そを聞いて安心したのかにっこり笑って
仕事へと向かった。

「さーて、私もゆっくり準備しますか」

とは、言っても制服に着替えるだけ。
学校に行くとは、言っても世間で言う
保健室登校ってやつ。

全然学校に行ってないせいで勉強も
かなり遅れてしまってるため、みんなと
同じ教室で授業が受けれない。


それも友達ができない理由の1つ。


「ゆっくりテレビでもみて学校向かおうかな



朝ごはんのパンを食べながらふと流れているテレビの方へと目を向ける。

「このように、我々人間は生まれた時から寿命が決まってる……と」


お偉い先生たちが話をしているシーンが流れた。

「生まれたときから……」

「そっか……」

私も生まれた時からこうなる運命って
決まってたって事なんだ……。



朝ごはんを食べ終え部屋に戻りクローゼットからまだ新しさの残る制服へと袖を通す。


全然きてないからまだ入学したときのままの
新しい匂いがする。


「今日は、どんな人がくるかなー」


唯一の楽しみの保健室にどんな人たちがやって来るかを楽しみにしてネクタイを結んで保健室でもできるように勉強の準備をして鞄につめた。


「10時か……ゆっくり行ったらお昼くらいか」


いまからゆっくり歩いて行ったらちょうどいい時間になる。

ただ、暑いから嫌になりそうだけど…。




リビングに降りるとキッチンに赤色のチェックの布に包まれた小さなお弁当箱が置いてある。


お母さんが仕事の前に作っていってくれたものだ。

そんな小さなお弁当を鞄にしまって家をでた。


「行ってきます」

誰もいない家に挨拶をつげて。