どれだけこの日を待っただろう‥‥


ずっと待ってた。

また、ユーリが笑ってくれると信じてた。



すっかり見慣れた病室までの風景。

それなのに、今日はいつもと違う気がする。


廊下を小走りに進みながら、あたしはまだ、夢の中に居るような気がしていた。


「‥‥ユーリ‥」



会ったら何を言おう?

どんな顔をしよう?


『目が覚めて良かった』

『助けてくれてありがとう』


色んな言葉が頭に浮かんでは消えていく。

そのどれもが、それじゃ足りない気がした。



「‥‥あ、」


ふいに前を行く美野里さんの足が止まる。

その視線の先には、病室から出て来た医師と看護師の姿。


「ひなこちゃん 先行ってて?」

「え?‥でも‥」

「話 聞いてくる」


そう言い残して美野里さんは小走りに駆けていく。

その後ろ姿を見つめながら、あたしは小さく息を飲んだ。