夢みたもの

柱の影から様子を見ていたあたしは、小さく息を吐いて2人から視線を外した。


親しい雰囲気の2人。

何の話をしているんだろう?

所々理解出来ない。


分かった事は‥‥

母と崇さんが、ユーリの両親で繋がってた事。

そして

あたしが、本当に沢山の人に愛されてきたという事。


「‥‥」


あたしは不幸なんかじゃない。

強くそう思う。


施設で育っても

本当の親を知らなくても

例え、過去に何があったとしても‥‥


あたしは、抱えきれない程の愛情を、沢山の人から貰ってきた。

それは、とても幸せな事で、何物にも変えがたいもの。

それなのに、もし‥あたしが幸せにならなかったら、今まで貰った愛情が全て無駄になってしまう。


「‥‥あたし‥」


航平の腕をつかんで、あたしは小さく呟いた。


「あたし‥幸せにならないとね」

「‥‥」

「皆に貰った愛情を無駄にしたら勿体無いよ。航平にも‥‥沢山沢山、貰ってきたもん」

「ひなこ」


「そうだよ」と言うように、航平の温かい手があたしの手を強く握り締める。

それに応えるように、あたしも航平の手を握り返した。