夢みたもの

事故で亡くなったユーリの両親。

一緒に暮らした期間の記憶しかないけれど、詩織さん‥おばさんは、切れ長の瞳と通った鼻が印象的な、全体的に線が細い人だった。

ちょっと神経質だったけれど、優しくて強い。

ピアノを弾いている時に見せる幸せそうな表情は、ユーリに繋がる処があった気がする。

でも‥‥

どうして、お母さんがおばさんの事知ってるんだろう?


再び柱の影に身を寄せたあたしは、2人の会話に聞き耳を立てる。

航平が何も言わずに側に居てくれるのが嬉しかった。



「あの子を引き取る時‥‥詩織さんから手紙を貰ったの」

「手紙?」

「そう。ひなこの現状を知らせるものだった。きっと色々調べてくれたのね。目を疑う事ばかりだった‥‥」


母はまた自嘲的に笑った。


「『あなたに支えられるの?』って」

「姉さんが?」

「そう。でも‥返す言葉が無かったわ」

「‥‥」

「母親失格よね」

「そんな事ない」


間髪入れず崇さんはそう言った。


「ひなこちゃんがどんな風に育てられるかなんて‥、どうする事も出来なかった筈だよ」


「でも‥‥悔しかったわ」


母は小さく呟いた。