夢みたもの

『駄目な母親』

その言葉が胸に刺さる。


居たたまれなくなったあたしは、航平の腕を握り締めてうつむいた。


母にそう言わせてしまった自分が情けない。

そんな風に思ってくれていたなんて‥‥

あたしが思うよりずっと‥‥母はあたしを想ってくれている。

その想いを素直に受け止めてこなかった自分に苛立ちを感じた。


「大丈夫。おばさんはちゃんと‥ひなこの気持ちも分かってるから」


航平はあたしの頭を撫でると、あたしの肩を抱き寄せた。


「ごめん。立ち聞きなんてして‥‥ひなこを傷つけた」

「‥‥」


「そんな事ない」そう言う代わりに、あたしは何度も首を横に振った。


「戻ろう?」


航平に手を引かれて歩き出した時だった。



「詩織さんが笑ってるわね。『だから言ったでしょう?』って」


自嘲的に言う母の言葉に、あたしは足を止めた。


「ひなこ?」

「‥‥待って。今‥」


航平が不思議そうに首をかしげる。


「どうかした?」

「『詩織さん』‥って、ユーリのお母さんだ」