その事を受け入れるのに、何て長い時間がかかったんだろう‥‥


本当は

きっと本当は、ずっと前から気付いてた。


でも

怖かった。

認めるのが怖かった。



あたしにとっての『好き』は、ずっと『支配』以外の何物でもなかったから。


だから‥‥

誰かを好きになる事も

誰かに好かれる事も

その思いが強い程、怖くて堪らなかった。


その人の心が歪んでしまう気がして、認める事も、受け入れる事も出来なかった。



でも、公園で2人組に絡まれた時。


あたしはやっと、自分の気持ちを自覚した。

認めざるをえなかった。


恐怖の中。

自分でも驚く程、航平を求めていた。


航平に会いたくて

助けて欲しくて‥‥


それは、他の誰かじゃ駄目だった。


航平だけ。

航平がいい。

航平の事しか、頭に浮かばなかった。



「なに?どうしたの?」


不思議そうに首をかしげる航平。

あたしは黙って、ただ首を横に振った。



今は言えない。

言う資格なんてない。


自分だけ幸せを手に入れるなんて‥‥ユーリに申し訳ない。



ユーリが目を覚ましたら

全てが元に戻ったら‥‥


その時まで、この気持ちは胸にしまっておく。


航平を真っ直ぐ見つめて、あたしはそう誓った。