夢みたもの

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「今日は元気そうね」


夕方。

いつものように顔を出した葵は、あたしの顔を見るなりそう言った。


「いつも思い詰めた顔してるのに、今日はそこまでじゃないわ」

「そう‥?」


崇さんと美野里さんのおかげだ。

2人に感謝しながら、あたしは葵に笑いかけた。


確かに、気持ちが楽になった。

昨日までは、葵と鞠子、そして航平が来てくれてもどこか上の空。

皆が帰った後、ユーリに対する後ろめたい気持ちで一杯になった。


崇さんと美野里さんのおかげで、今は心から笑える‥‥そんな気がした。



「少し安心されたんじゃないですか?」


椅子を譲って立ち上がった母に、葵はニッコリ笑って声をかけた。


「おばさんも心配で‥大変だったでしょう?」

「えぇ‥本当に。でも、元気になってくれて良かったわ」

「一時はおばさんも倒れそうで心配だったんですけど‥‥」

「あら‥ありがとう。でも大丈夫よ?さすが、葵ちゃんはしっかりしてるわね」


母が穏やかに笑うのも久しぶりに見た気がする。



事故に遭って目が覚めた時。

真っ先にあたしの名前を呼んでくれた母。

あの時の声と、優しく頬を撫でてくれた手の感触は今も忘れられない。


ずっとあたしが求めて止まないもの。

それを一瞬手に入れられたような気がした。