夢みたもの

病室のドアが開いて、花束を抱えた美野里さんが入ってきた。


「あぁ、やっぱり先に来てたんですね」


崇さんに向かってそう言うと、美野里さんはベットに備え付けられたテーブルの上に花束を置いた。


「ずいぶん大きな花束だね」

「これ、お店の常連さん達から‥悠里君へのお見舞ですよ」

「へぇ?」

「悠里君モテモテなんだもの」


フフッと笑うと、美野里さんはあたしに軽くウインクする。


「ひなこちゃんが付きっきりなんて知ったら、悠里君のファンは卒倒しちゃうわね」

「‥‥」

「そうだね。悠里も、ひなこちゃんがこんなに側に居てくれてるのに、それを味わえないなんて可哀想に」

「あら‥案外、悠里君は分かってて、今の状況はオイシイなんて思ってるかもしれないですよ?」

「ははっ‥そうだね」


「ちょっと2人共‥‥止めて下さい」



緊張感の無い会話。

自分がからかわれるのは構わない。

でも、何もこんな時に‥‥


2人に向き直ったあたしは、戸惑いながらそう言った。


「ユーリが‥、ユーリがこんな‥‥」


「こんな状態なのに」と続けかけた言葉を慌てて飲み込む。

あたしは、そんな偉そうな事が言える立場じゃない。