夢みたもの

その時。

ドアが開く音がして、病室内の空気が動いた。

近付いてくる足音。



「ひなこちゃん」


あたしの隣に立った崇さんが寂しそうに呟いた。


「今日も変わりない‥か」

「‥‥」


ただ黙って頷き返すと、崇さんはため息混じりに小さく笑った。


「心配しなくても大丈夫だよ」

「‥‥」

「悠里はきっと目覚める」


わざと明るくそう言うと、崇さんはあたしに笑いかける。



「悠里は、ひなこちゃんを悲しませたままにしておくようなヤツじゃないでしょ?」

「‥‥」

「それより、ひなこちゃんの具合はどう?動いて大丈夫?」

「あたしは‥、」


そう言いかけて、言葉が詰まった。



ユーリが大変なのに

今にも倒れてしまいそうな程、崇さんも青白い顔をしているのに‥‥


あたしの事を心配してくれる

その優しさは凄く嬉しいけれど、同時に、申し訳ない気持ちで胸が苦しくなった。



「‥‥あたしは、大丈夫です」


「そっか‥良かった」


崇さんはほっと息を吐いて微笑む。

その笑顔に泣きそうになったあたしは、慌てて顔をそらして誤魔化した。