それからは、あたしと葵はずっと一緒。

学校に戻った葵は、以前と違って積極的になった。

クラス委員になったりして、どんどんクラスに馴染んでいく。

誤解が解けて友達も増えていったけれど・・・、葵は、親友はあたしだけしか作らなかった。

一度その理由を聞いたら、葵は少し寂しげに笑いながら言った。


「昔から・・・私に近付いてくるのは、家柄目当ての人ばかり。だから親友なんて、そう多くは要らないの。ひなこだけで良いのよ。心から気を許せる親友を作るっていう病床の母との約束。母にひなこを紹介出来なかったのは残念だけど、私は自慢の親友を得たと思ってるわ」


その言葉に胸が熱くなった。

あたしこそ、なんて素敵な親友を得たんだろうと思った。



親しくなって、葵の見た目とのギャップに驚いたけれど・・・

それは、葵の新たな魅力となった。



もう何も、葵が心配する事はない筈。


それなのに。

それなのに葵は、時々、不安そうな表情をする。




「もう気にする事ないのに」


輝く夕日を眺めながら、あたしは小さく呟いた。