夢みたもの

「おや‥盛り上がってるね」


あたしの座ったソファーの背もたれに寄り掛かりながら、崇さんは嬉しそうに言った。


「悠里がひなこちゃん以外の女の子と話すなんて、凄い進歩だ」

『からかわないで下さい』

「だって本当の事だろう?叔父として嬉しいよ」


「あ‥あの‥‥さっきは、ありがとうございました!!」


おもむろに立ち上がった鞠子が、崇さんに深々と頭を下げた。

下げた頭から垣間見える顔は真っ赤で、恥ずかしそうに目を潤ませている。



「‥‥」


鞠子は可愛い。

見ているこっちまで、こそばゆい気持ちになる。


「‥‥あ、そっか‥」


『崇さんの熱烈なファンなのよ』

美野里さんの言葉を思い出した。



「あぁ‥気にしなくて良いよ。こっちこそお礼を言うべきだ。さ、座って?」

「‥‥」

「鞠子ちゃん‥だっけ?ひなこちゃんの友達だったんだね」


崇さんが笑いかけると、鞠子はますます頬を赤くして肩を縮めた。


「ユーリは僕の甥なんだ。仲良くしてあげて?」

「はい‥もちろん!」

「ありがとう」


にこやかに笑う崇さんと、頬を赤くした鞠子。

2人を見つめながら、あたしは苦笑するしかなかった。