夢みたもの

『仲直り出来た?』


あたしの隣に座ったユーリが、そっとノートを差し出す。

あたしはそれに笑って頷いた。


「うん。だって友達だもん」

『良かった』


ユーリは嬉しそうに笑ってノートにペンを走らせると、今度は鞠子に向かってノートを開いて見せた。


『君みたいな子が近くに居れば、ひなこは寂しくない。これからも一緒に居てあげて欲しい』

「‥叶君‥」

『僕は喋る事が出来ない。だから、ひなこが悲しんでる時、寂しがってる時に声をかけられないけど‥‥、君ならひなこを元気にしてくれると思うから』

「‥‥ちょ、ちょっとユーリ?」


視界に入ったユーリのノート。

あたしは慌ててノートを閉じると、ユーリにノートを押し付けた。


「もぅ、過保護過ぎ!!あたしは大丈夫だから‥!!鞠子気にしないで!?」

「え?‥‥って言うか‥」


鞠子はそう呟きながら、キラキラと顔を輝かせた。


「‥って言うか、叶君カッコイイねぇ‥‥大切にされてるんだね、ひなこ」

「‥‥え?」

「叶君が喋れないのは、お店に通ってて何となく気付いてたけど、でも、こんなにカッコイイなんて知らなかったよ!?」

「ちょっと‥‥鞠子?」

「任せて叶君!!鞠子、もう2度とひなこから離れないから」

『ありがとう。マリコは優しいね』

「やだぁ‥照れちゃう。でも、ホント任せて!!」


楽しそうに笑いあう2人。

その様子を眺めながら苦笑した時。

崇さんが穏やかに笑いながらやってきた。