嫉妬なんてしてない。

嫉妬する資格なんてない。

その事は、自分でよく分かってる。


‥‥ただ、

ただ、ちょっと寂しいだけ。



「相変わらず、御愁傷様って感じねぇ‥‥」


葵がため息混じりにそう言った。


「でもまぁ‥、前よりはマシかしら?」

「‥‥え?」

「こっちの話よ」


男子に視線を投げ掛ける葵につられて、あたしが再び男子の試合に目を向けた時。

試合を終えて、無造作にシャツで汗を拭う航平がこっちに顔を向けた。


あたしが見ている事に気付いたのか、ニッコリ笑って親指を立てる。

その笑顔が凄く絵になっていて‥‥

あたしの鼓動は大きく跳ね上がった。


「あと一押しなのよねぇ‥」

「え?」


その声に振り向くと、葵が苦笑してあたしを見ていた。


「え‥何?」

「何でもないわよ」


葵はそう言って肩をすくめた。


「こっちの話」

「何が『こっちの話』?」

「‥‥!?」


葵の言葉に被せるように、背後から声が聞こえた。


「俺も会話に混ぜてよ?」


驚いて振り返ると、宮藤君が興味深そうな表情で立っていた。