夢みたもの

「‥‥あたし‥」


小さく呟いて、あたしは上目遣いに航平を見た。


あたしと目が合うと、航平はニッコリ笑う。

その笑顔は何処か寂しげなのに‥、以前よりも引き込まれそうになる。


航平は、いつからこんな表情をするようになったんだろう‥‥

いつもあたしの数歩先を歩く航平。

常に、あたしに手を差し伸べてくれる航平は、それでも、同い年の幼なじみだった。


でも、

今‥目の前に居る航平は、前よりずっと大人びて‥‥

あたしの全てを受け止めて、包み込んで、全ての苦しみから解放してくれそうな力を感じた。


それに寄り掛かる事が出来たら‥‥どんなに幸せだろう。



でも‥、

それに甘えるなんて、あたしには出来ない。


「どうして、そんなに優しいの‥?」


あたしはうつむきながらそう言った。


あたしには、航平に守って貰う資格なんてない。

いつもいつも‥‥

迷惑ばかりかけて、航平を困らせる事しかしていないのに‥‥


航平の優しさが強ければ強い程、その優しさに触れると泣きそうになる。


それは、

嬉しいからなのか‥

後ろめたいからなのか‥‥

あたしにはそれが分からなかった。