夢みたもの

「ひなこ」


あたしの横に並んだ母が、厳しい口調で名前を呼んだ。


「あ‥ただいま」


「‥‥ただいま、じゃないでしょう?ちゃんと連絡しなさいっていつも言ってるのに。心配するじゃないの」



きっと‥、知らない男の人と帰ってきたからだろう。

表情を険しくした母は、眉根を寄せてあたしを見る。


「ねぇ、ひなこ‥、あなた まさか‥‥」

「‥え?」


母の険しい表情に首をかしげたあたしは、ややあってハッと目をしばたたかせた。


女子高生が年上の男の人と一緒。

大人がそこから導き出す結論は‥‥援交か。


男の人が苦手だという私の状況は知ってる筈なのに‥‥

心配性の母は、その事なんて頭から抜け落ちたかのように、険しい表情であたしをじっと見つめている。


心配してくれるのが嬉しいのと同時に、あたしは少しおかしくて‥

苦笑しながら母に言った。


「遅くなってごめんなさい。でも、今の人は悪い人じゃないから‥‥」

「‥‥」

「お母さんが心配するような事、あたししてないよ?」


「‥ね〜ねぇ」


無邪気に微笑みながらあたしに手を伸ばす雅人の手を握ると、あたしは雅人を見つめながら言った。


「‥‥お母さんやお父さん、家族に心配かけるような事は絶対しないから‥」


「だから安心して」そう付け加えると、あたしは顔を上げて母に笑いかけた。