夢みたもの

「‥‥そちらの方は?」


その声に振り返ると、門の処に雅人を抱き抱えた母が立っていた。

あたしの隣に居る崇さんを訝しげに見つめている。


「あ、‥母です」


少し気まずさを感じながら、あたしは崇さんを見上げてそう告げた。


「遅くなったから心配されたんだね‥」


「ごめんね」そう付け加えると、崇さんは母に向かって一礼した。


「じゃぁ‥僕はここで」

「‥え?あ、でも‥お茶とか‥‥」

「また今度、ゆっくり寄らせて貰うよ」


崇さんはそう言うと、少し寂しそうに微笑んで踵を返す。


「本当にありがとうございました」


あたしの言葉に後ろ手に手を振ると、足早に来た道を戻って行く。


その後ろ姿が寂しげで‥

あたしは崇さんの姿が角に消えるまで目を離す事が出来なかった。