夢みたもの

「同じ?」

「そう。‥‥クリスマスは孤独を感じるから苦手だ‥って」

「あ、分かる気がします」


あたしがそう言うと、崇さんは小さく頷いた。


「もう‥ずっと昔の知り合いで、何年も会ってない。でも、クリスマスの度に彼女の事を思い出すよ」


「‥‥彼女‥」


声にならないぐらい小さくあたしは呟いた。


きっと‥

崇さんが口にした女性が、前にユーリが言っていた崇さんの『忘れられない人』なんだろう‥‥

ずっと昔の話。

それなのに、今でも崇さんの心に残る女性。

人が人を想う気持ちはそんなにも強い‥‥



「‥その人は 今は?」


「あ?‥‥うん、幸せに暮らしてるよ」


「そうですか」


それ以上の事を聞くのは憚られて、あたしは口をつぐんだ。

そんなあたしを、崇さんは眼鏡の奥から優しい瞳で見つめる。


「ひなこちゃんは、今 幸せ?」

「‥え?」


突然の質問にあたしが足を止めると、崇さんは穏やかに微笑みながら首をかしげた。


「クリスマスに寂しいなんて言うなんて‥悩みでもある?」

「‥‥あ、いいえ。そんな事ないです」


あたしは慌てて首を横に振った。