夢みたもの

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12月。

師走なんていうけれど、学生には関係ない。

ただ、街中がクリスマスのイルミネーションで輝き始めると、何となく人の足が速くなる。


街はキラキラと輝いているのに‥

焦りと寂しさを感じた。


「すっかりクリスマスだね」


コートの襟を締めながら、崇さんがのんびりそう言った。

吐く息が白い。

それが寒さの感覚を助長させて、あたしは軽く肩を震わせた。


「何かホントすみません‥‥1人でも大丈夫だったんですけど‥」

「女の子を1人で帰らせる訳にはいかないよ」


崇さんはそう言うと、眩しそうにイルミネーションを見上げた。


「綺麗ですね」

「そうだね」

「‥‥でも、ちょっと寂しいかな」

「‥‥」

「クリスマスって華やかで、パーティがあって‥凄く楽しいイベントですけど‥‥ちょっと苦手なんです」


少し驚いたようにあたしを見つめる崇さんに、あたしは苦笑した。


「まだ若いのに‥‥変、ですか?」


「‥‥いや‥」


呟くように言って、崇さんは目を細めてあたしを見る。


「昔‥‥同じような事を言った人が居たな‥と思ってね」


その目は、さっきイルミネーションを見上げていた時みたいに眩しげだった。