夢みたもの

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「‥ねぇ、本当に一人で大丈夫?」


そろそろ家に帰ろうという時。

「大丈夫」というあたしに、美野里さんは何度もそう聞いた。


「ホント大丈夫です。いつもと同じ道ですから」

「でも‥、今日のひなこちゃんを一人で帰すのは不安なんだもの」

「大丈夫です」


そう何度目かのやり取りを繰り返した時。

崇さんが堪え切れずに吹き出した。


「じゃぁ、僕が送って行くよ」

「‥え!?」


驚いたあたしと美野里さんが同時に振り向くと、崇さんはニコニコ笑いながら椅子から立ち上がった。


「いつまで押し問答してても仕方ないでしょ?それに、どうやら‥悠里が動く気配は無さそうだし‥?」


楽譜を見ていたユーリがチラリとあたしに視線を向ける。

『僕が送ったら困るでしょ?』

そう言われた気がして、あたしは思わず視線を外した。

そんなあたしの頭上から、穏やかな声がふりかかる。


「うん‥確かに暗いし、夜道で何かあったら大変だ」


「さ おいで?」そう言って手を差し出す崇さんが余りにもスマートで‥‥

あたしは一言も反論する事なく、黙って崇さんの後に続いた。