夢みたもの

『恋は、誰かを特別好きになって、一緒に居るだけで幸せだって思える事だよ』


前に鞠子が教えてくれた。



でも

‥‥不安が募る。


嫌われたくない。

側に居て欲しい。


そう思うと、息苦しくて胸が痛い。

不安で落ち着かなくなる。

そんな苦しい思いをするのが‥‥恋だっていうの?



これじゃ‥

こんな気持ちじゃ‥‥


あたしはあの人と同じになる。



「‥‥」


背筋に悪寒が走る。

思わず身震いすると、あたしは首を横に振って美野里さんを見た。


「恋じゃないです」

「‥え?」


小首をかしげる美野里さんに、あたしは胸元を押さえて言った。


「今、ここにあるのは‥、大切な幼なじみに対する気持ちで‥‥恋なんかじゃない」

「‥‥」

「あたしは、恋愛向きじゃないんです」


私はそう言って苦笑した。



そう。


恋愛なんて‥

恋なんて‥‥

そんなものは知らなくていい。


人に好かれる事

愛される事がどんなに怖い事か‥‥


あたしは誰よりも知ってる。