夢みたもの

自分から避けているのに、何て勝手なんだろうと思う。


『触らないで』

そう言って航平を拒絶した昨日。


嫌われて当然。

何て嫌なヤツだろうと‥‥

そう思われて当然だと思った。


それなのに‥‥


あたしを心配してくれた航平。

いつもより、少しだけ遠慮がちに‥‥

でも、いつもと同じ優しい瞳を向けてくれている事を知った時。


凄く嬉しかった。


嬉しくて‥

恥ずかしくて‥‥


航平を直視出来なかった。


今、自分に向けられている優しさを失うのが怖い。

‥‥もし、

航平がその優しさを、あたし以外の誰かに向ける事があったら‥‥

そう思うと、言い様のない不安が胸に広がった。



航平に触れたら‥昔の事を思い出すかもしれないという恐怖。

航平の側にいたいという願い。


その2つの感情が混ざりあって存在して‥‥

あたしは、自分の気持ちが分からなくなった。



「あたし‥自分がよく分からない‥‥」


「そうねぇ‥、ひなこちゃんにとっては、今は良い展開だと思うけど‥?」


美野里さんはフフッと思わせ振りに笑った。