夢みたもの

「うん。葵の親友で良かった」


心からそう思った。


何も持っていないあたし。

でも、そんなあたしに誇れるものがあるとすれば‥‥

それはきっと、あたしの周りに居る優しい人達。


頼りないあたしを

流されるままのあたしを

いつも側で支えてくれる。


それが凄く嬉しくて‥‥

そんな人達と知り合えた事が誇らしかった。


あのまま施設に居たら‥‥

もしかしたら一生知る事が出来なかった感覚かもしれない。



「‥‥!?」


ふいに嫌な感覚に包まれた。

ザワザワとした耳鳴り。

最近、頻繁に感じるこの感覚は‥‥

忘れもしない‥‥過去の記憶が呼び覚まされる時。


「ひなこ?」


両腕を抱えたあたしを、葵は不思議そうに首をかしげて見た。


「どうかしたの?‥顔色が悪いわ」


「‥うぅん‥‥何でもない」


意志の力を総動員して持ち堪える。


こんな時にまで‥‥

葵にまで余計な心配はかけたくない。


大丈夫。

あたしは大丈夫。


頭の中で、何度もそう言い聞かせた。