夢みたもの

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「全く‥呆れたわ」


生徒がちらほら登校してくる時間。

あたしと葵が教室に戻った時には、教室にはまだ誰も居なかった。


ため息を吐いて椅子に座った葵は、軽く頭を振って額を押さえる。

そして、その手の隙間から、あたしを横目でチラリと見た。


「‥‥ごめん‥」

「その言葉‥もう聞き飽きたわ」

「‥‥」


口をつぐんだあたしに、葵は再びため息を返してくる。

不機嫌というよりは、本当に言葉通り呆れた様子だった。


「私は、難しい事を言ってる訳じゃないのよ?」

「‥‥」

「ひなこがしたいようにするのが一番だけど、でも、よく考えて欲しいのよ」

「‥‥うん」

「もし、彼と一緒に居る処を誰かに見られたら‥、また不愉快な噂のネタにされるのよ?」

「分かってる」

「本当に分かってるのかしら‥‥」


額から手を離した葵は、そのまま頬杖をついて肩をすくめた。


「彼は良いのよ。こう言ったら悪いけど‥‥声が出ないんだから」

「‥ちょっ、ちょっと葵!?」


あたしは慌てて周りを見回した。