夢みたもの

声をかけなくちゃ‥‥

そう思うのに、かける言葉が思い付かない。


厳しい表情で佇むユーリは、うつむきがちに一点を見つめていた。



「‥‥ねぇ、葵?」

「言い訳なんて聞かないわよ」

「そんなつもりないよ‥‥ただ、ただね?‥‥ユーリは‥」


あたしがそう言いかけた時だった。

視界を横切った人影。

驚いてまばたきをしたあたしの視線の先には、少し髪を乱したユーリ。

葵の前に立ちはだかったユーリは、その場でノートにペンを走らせた。


『僕は諦めない』


乱れた筆先。

ユーリは真っ直ぐ葵を見つめた。


「‥‥そう」


「それで?」と言うように首をかしげた葵に、ユーリは再びペンを走らせる。


『君に認められるかじゃない。ひなこを幸せにしてみせる』

「‥ふぅん?」


少し目を見開いた葵は、面白そうに笑う。

それが厳しい表情のユーリとは余りに対照的で、あたしはその場の緊迫した雰囲気に、思わず葵の腕を握り締めた。