夢みたもの

『ひなこを困らせたい訳じゃない』


書かれていたのは短い言葉。

それなのに、いつもより線が乱れているのは、ユーリの動揺を現わしているようで胸が痛む。


「‥‥ユーリ‥」


『確かに甘えているかもしれない。でも、ひなこを守りたいという気持ちはある』


そう書いたノートを見せたユーリは、あたしと葵が読み終えたのを確認すると、少し迷うような表情を見せてペンを走らせる。


そして

次にノートが差し出された時。

あたしはノートに目が釘付けになった。


『好きな人は、自分の手で守りたい』


書かれていたのはそれだけ。

思わず顔を上げると、あたしを真っ直ぐ見つめるユーリと目が合った。


「‥‥あ、‥」


声が上ずる。


再会してすぐ、ユーリに告白された事を思い出した。


あの後

崇さんが現れて、ユーリの話を聞いて‥‥


うやむやになってしまっていたけれど、あたしはまだ、ユーリに答えを出していない。


答え。

答えを迫られたら‥‥



今のあたしには答える事が出来ない。


「‥‥!?」


一瞬。


航平の顔が頭に浮かんで消えた。