夢みたもの

「それじゃ、叶君の意見は?」


葵はあたしの肩越しにユーリを見てそう言った。


「ひなこはこう言ってるけど、貴方にも意見はあるでしょう?声が出ない事を理由に逃げないで欲しいの」


「ちょっと‥葵!?」


あたしは慌てて葵の腕をつかんだ。


それは、今は言って欲しくない言葉。

ついさっき‥、あたしがユーリを責めたばかりだったから。


案の定、視界に入ったユーリは、ますます表情を堅くして、あたしと葵を見つめている。


「ね、葵?今は‥‥」

「今聞かないでいつ聞くのよ?」


チラリとあたしを見た葵は、不機嫌そうにため息を吐く。


「いつまでもこのままで良い訳ないでしょう?‥‥このままでなんていられないわよ?」

「それは分かってるけど‥‥」

「本当に分かっているか疑問だわ」


葵は肩をすくめた。


「妙な噂のせいで、あなたの置かれてる状況はもの凄く悪いのよ?このままで良いなんて思ってないでしょう?」

「‥それはそうだけど‥‥」

「まさか、耐えれば良い‥なんて、マゾ的な考えをしてる訳じゃないわよね!?」

「‥‥もちろん」

「怪しいものね」


葵がそう言って鼻を鳴らした時。

綺麗な手が伸びてきて、あたしと葵の前にノートが差し出された。