夢みたもの

「もっと‥自分の立場や状況を考えなさい」


葵はそう言いながらあたしに近付いてくると、あたしの腕を引っ張ってユーリから遠ざけた。


「どうして もっと自分を大切にしないの?」

「‥‥え?」


首をかしげたあたしに、葵は一瞬苦々しい表情を見せると、すぐにユーリに向き直った。


「ひなこの親友として言わせて貰うわ」

「葵?」

「甘えないで」

「‥‥?」

「守れもしないのに‥、この子に近付かないで」


「‥‥ちょっ‥!?」


言葉が続かない。

思わず耳を疑った。


いつも冷静な葵。

何だかんだ言いつつも、葵はその時の状況を読んで、いつも的確な発言をする。

そんな葵の言葉とは思えなかった。



「‥‥ちょっと 葵!?」


葵の腕を掴むと、葵はあたしの手を引き離して肩をすくめた。


「『親友として』って言ったでしょう?‥今、私が話してるのは彼よ?‥邪魔しないで」

「‥‥でも‥」


思いがけない状況だった。

険しい表情でユーリを見つめる葵。

葵とは別の意味で、表情を堅くしているユーリ。


あたしは、葵とユーリの顔を交互に見つめてオロオロするしかなかった。