夢みたもの

「ごめんなさい」


僅かな沈黙の後。

あたしは呟くように謝った。


「ユーリの気持ちも考えないで、勝手な事言って‥‥」


ユーリの気持ちが分からない。

治る可能性がある。

声が出せるのに‥‥

どうして『今のままで良い』なんて言うの?



混乱するあたしとは反対に、ユーリは堅い表情であたしから視線を外す。

凍りついた雰囲気に、あたしはますます不安になった。


「‥‥っ」


声をかけようとして息を飲む。

何て声をかければ良いか分からなかった。


謝ればいい?

違う話題で話を逸らせばいい?

あたしが教室から出て行けばいい?


そんな事が、頭の中でぐるぐる回る。


幸せになる為に、前に進もう‥‥

変わらなくちゃいけない。


そう思った矢先なのに、あたしはもう前に進めない。

そんな自分が不甲斐なくて仕方なかった。




「‥‥ごめんなさい」


やっと声に出せたのは、やっぱり謝罪の言葉。


それ以外に思い付く言葉がなかった。