夢みたもの

「もう1度‥、治療を始めない?」


一瞬、訳が分からないと言うように首をかしげたユーリ。

でもその直後。

眉根を寄せて、みるみる表情が険しくなった。


「あのね、あたし‥‥」

『必要ない』


ため息を吐きながら、ユーリはそうノートに書いた。


『僕は今のままで構わない』

「何で!?だって‥治るのに‥!!」


思わず声を上げた。


「専門書にも、心因性失声症は治るって書いてあったよ!?‥治るんだよ?声が出るんだよ!?」

『僕は望んでいない』

「何で!?」


訳が分からない。


‥‥治るのに。

自分の声で笑って、話をする事が出来るのに‥‥

それを望まないなんて‥‥どうして?


ユーリの真意が分からなかった。


「‥‥ユーリは、自分の声で話したくないの?」


あたしのその言葉に、ユーリは不機嫌な表情に苛立ちを含ませた。


『僕がそれを望んでるなんて‥‥誰が言ったの?』

「‥‥」

『これは僕の問題だ』


それは、拒絶の言葉だった。

開きかけたユーリの心が閉じていく。


かける言葉が見つからなくて‥‥

あたしは、ユーリを見つめる事しか出来なかった。