夢みたもの

「‥‥ユーリ?」


『嬉しいよ』


珍しく書きなぐるようにペンを走らせたユーリは、ノートにそれだけ書いてあたしに差し出した。


『そんな風に言って貰えるなんて、凄く嬉しい』


あたしの手を握り締めたまま、ユーリは続きを書いた。

ただ‥言葉とは裏腹に、表情は寂しげに曇っている。


「どうして‥そんな顔するの?」


あたしはユーリを見つめて首をかしげた。


あたしはまた、ユーリの気に障るような事を言った‥?

ユーリの反応を見る度に、ユーリの事を何も理解出来ていない自分に気付かされる。


やがて、小さくため息を吐いたユーリは、ピアノの上に置かれたノートにペンを走らせた。


『それは、崇叔父さんに頼まれたから?』

「‥え?」

『本当にひなこの本心?』

「当たり前でしょ!?」


少しイラッとしながらあたしは答えた。

どうしてそんな事を気にするの?


『良かった』


『無理させてる訳じゃないんだね?』そう付け加えると、ユーリはほっとしたような表情を見せた。


「頼まれてって‥‥何?」

『前に、崇叔父さんがひなこに頼んだでしょ?僕の側に居て欲しい‥って』

「それは‥」

『今回もそんな風に頼んだのだとしたら、止めて欲しかった。ひなこにこれ以上、負担をかけたくない』