夢みたもの

「‥‥ユーリ‥?」


あたしは恐る恐る声をかけた。


あたしの言葉が原因なのは分かる。

でも、さっきのどの言葉がユーリの気に障ったのか分からない。


「‥‥ごめんなさい。あたし‥無神経な事言っちゃった」


理由が分からないまま、ただ謝るしかなかった。


開きかけたユーリの心が、これをきっかけにまた閉じてしまうんじゃないかと思うと、自分の失言に落ち込まずにはいられない。


「‥‥あの‥」


『ごめんね、気にしないで』


あたしが次の言葉を発する前に、ユーリは素早くノートをあたしに差し出した。


『ひなこは何も悪くない』

「‥‥でも‥」

『これは僕の問題で、僕が乗り越えなくてはいけない事だから』


『驚かせてごめんね』そう付け加えると、ユーリは寂しそうに微笑む。

‥‥無理に作った笑顔だった。


「‥‥あたしこそ‥ごめんなさい」


ユーリの抱える心の傷は、どれだけ深くて大きいんだろう‥‥

崇さんは側に居るだけで充分と言っていたけれど、とてもそうは思えない。

目の前で辛そうに微笑むユーリを見ていると、あたしはいたたまれない気持ちで一杯になった。