夢みたもの

「間違いに気付いたのは‥‥航平が大学に行きたがらなくなってからだったわ」

「‥‥」

「よく考えれば分かる事だったの。知能はあったとしても、身体的には幼い航平にとって、自由にならない事は沢山ある。知能が先に成長してしまうからこそ‥その葛藤は相当なものだったと思うわ。おまけに、大学では好奇の目で見られて親しい知り合いも出来ず‥‥ずっと孤独だったと思う」


「それでアメリカから帰ってきたの」そう付け加えると、おばさんは小さく苦笑した。


「馬鹿な親でしょう‥?でも、航平ったら私達に何も言わないのよ?」

「‥‥」

「怒っていいのに‥、恨んでもいいのに‥何にも言わないの。それが余計に辛くって‥‥」



いつの間にか家の前に着いていた。

でも、あたしもおばさんも‥その場に立ち尽くしたまま動かない。


「きっと、航平はおばさん達の気持ちが分かってたんですね‥?」


荷物を渡しながらそう言うと、おばさんは小さく頷いた。


「そうだと思うわ。もっと文句を言ってくれて良かったのに‥‥」

「航平‥‥優しいから」


あたしはおばさんに笑いかけた。


本当に優しくて‥‥

過去の苦しみなんて、おくびにも出さない。


改めて、航平の凄さを思い知った。