夢みたもの

「いや。大元を辿れば、全ての原因は姉夫婦の事故に結びつく訳だけど。姉夫婦が亡くなった時は、悠里は周りが心配する程しっかりしてた」


「たぶん、そうしなければ・・・悠里自身が悲しみに堪えられなかったからなんだろうけど」


そう付け加えると、崇さんはため息を吐きながら、膝の上に肘をついて両手を組み合わせた。


「姉夫婦が亡くなってから、悠里は倒れた杏奈を支えて、それまで以上に頑張るようになった」

「でも、アンナさんと一緒なら、姉弟2人で支え合っていけるし・・・」



血の繋がった家族が、辛い時一番の支えになる。

あたしはずっとそう思っている。

仲の良い家族だったからこそ、ユーリの側にアンナが居れば大丈夫な筈。



「アンナさんは、今は?一緒に日本に来てるんですか?」

「・・・・」

「崇さん?」


あたしが首をかしげると、崇さんは表情を変えず、ただ前を見つめたまま、ポツリと呟くように言った。



「死んだよ」


「・・・え?」

「杏奈は、2年前に死んだ」

「・・・・」



何も言えなかった。

言葉が思いつかない。



崇さんの言葉が一瞬理解できなくて、あたしは瞬きをする事も忘れて、ただ呆然と崇さんを見つめた。